報道されている原発事故の放射線の数値の誤解 美川の山里暮らし

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報道されている原発事故の放射線の数値の誤解

Filed under: 健康 — daii @ 3:52 PM
2011年3月18日

2011年3月11日の「東日本大震災」の影響で、福島第一原子力発電所で重大な原発事故が起こりました。放射性物質が漏れて、半径20km以上離れた所に退避と、半径20km~30kmでは屋内退避の方針になっています。

3月18日の読売新聞朝刊によると、16日の数値で、原発から30~40kmの地点で14.2~80[μSv/h]で、50~60kmの地点で4.0~22.2[μSv/h]の放射線量を測定したとの報道がありました。また、17日の測定値では、30km圏のすぐ外側で、170[μSv/h]とのことでした。

新聞では、この値と、胸のX線集団検診の値(50[μSv])や、胃のX線集団検診の値(600[μSv])や、一般人が年間で自然界から浴びる値(2400[μSv])等と比較しています。これはそもそも単位が違いますので比較すること自体が間違っています。

比較するなら、単位を揃えなければ意味がありません。単位をマイクロシーベルト/時間[μSv/h]に揃えて見てみます。そうすると、一般人が年間で自然界から浴びる値(2400[μSv])を一時間当たりに変換すると、0.27[μSv/h]となります。

30km圏のすぐ外側の170[μSv/h]はとても危険です

2011年3月17日の30km圏のすぐ外側で、170[μSv/h]ですので、これと一般人が自然界から浴びる値0.27[μSv/h]を比較すると、何と、自然界の630倍にもなります。

法律により許容されている被曝線量(自然放射線や治療による被曝を除く)は、 一般の人では1[mSv/年]ですから、170[μSv/h]の放射線なら、わずか約6時間で許容量を超えてしまいます。

もし、170[μSv/h]の放射線を一年間浴びると、約1.5シーベルト[Sv]にもなります。これは短時間に浴びれば、急性放射線障害を起こしたり、悪心や嘔吐、水晶体の混濁等を起こしたりする1シーベルトより強いものです。また、2シーベルトでは5%の人が死に至るレベルです。

30km圏のすぐ外側の値の170[μSv/h]は、胸のX線集団検診の値(50[μSv])と比べると、18分毎に胸のX線集団検診を受けているのと同じ事です。こんなに頻繁にX線集団検診を受けてみたいと思いますか。ここに一日居ると80回も胸のX線集団検診を受けたことになります。

シーベルトは生体への被曝線量[Sv]を表わす単位です

シーベルト(Sievert、Sv)とは、生体への被曝線量(ひばくせんりょう)を表わす単位です。つまりシーベルトは被曝線量という生体が受けた放射線の総量であり、放射線の強さではありません。

単位時間当たりの被曝線量は放射線の強さ[Sv/h]を表わします

生体への放射線の強さ(強度)を表わすには、単位時間当たりのシーベルト(被曝線量)を使います。単位は[Sv/h]のように1時間当たりの被曝線 量で表わします。しかし、テレビ等の報道では、1時間当たりの被曝線量を単にシーベルトと言って、放射線の強さとして使っていることがありますので注意が 必要です。

また、放射線の強さ[Sv/h]を論じる場合に、比較として病院でCT検査を1回受けた時の被爆線量や胃のレントゲン撮影の被曝線量[Sv]を使っている 場合がよくあります。これは比較する単位が元々違いますので単純に比較はできません。放射線の強さ[Sv/h]に時間を掛けてやり、被爆量[Sv]に直し て、単位を揃えて考える必要があります。

単位時間当たりと1年間の被ばく線量の関係

よく使うのは1時間の被曝線量で、これを1年間の被曝線量に換算するには、24×365 = 8760 倍する必要があります。例えば、1[μSv/h] = 8760[μSv/年] ≒ 8.8[mSv/年] となります。

テレビ等の報道では、単位時間あたりの被曝線量と1年間の被曝線量を混同している場合がありますので、注意して見る必要があります。

短時間に受けた放射線被曝量と人体の症状

150ミリシーベルト = 男性は一時的に不妊になります

250ミリシーベルト = 白血球の減少が認められます

500ミリシーベルト = リンパ球の減少が認められます

1シーベルト = 急性放射線障害が起こります。悪心や嘔吐、水晶体の混濁等

2シーベルト = 5%の人が死に至る

4シーベルト = 50%の人が死に至る

7シーベルト = 100%の人が死に至る

医療機関での被曝

病院でCT検査を1回受けた時の被爆線量は約7ミリシーベルトです。胃のレントゲン撮影では0.5~3ミリシーベルトの被曝があります。胸のX線集団検診では約50マイクロシーベルト[μSv]の被曝です。自然放射線より医療検査での被曝を気にする必要がありそうです。

法律により許容される被曝線量(自然放射線や治療による被曝を除く)

一般の人は1[mSv/年]を超えないこと。放射線や放射能を扱う医師、レントゲン技師、看護師は20[mSv/年]を超えないこと。

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